ハワイ

Happy Valentine's Day Mel!

メルの移送されたホスピスは「ヌウアヌ」という場所。

昨夜訪れる時、パリハイウェイを登り緑が多く茂る暗い道を走り抜け、
車を降りるとヌウアヌ渓谷を吹き抜ける風が冷っとし、木の揺れる音がまるで喋っているようで、
もののけ姫の世界を思い出させる。

そういえばヌウアヌは、ハワイアンスピリットが宿っていることで知られる場所。

この自然だけでなく、約200年ほど前にはカメハメハ大王時代のハワイの内戦があり、
この上にある観光名所で知られるパリルックアウトでは、多くの戦士達が命を落とした。

その中にひっそりとたたずむハワイ昔ながらの建物にメルがいる。

本当は土曜日までクイーンズホスピタルにいるはずだったのに、
このホスピスに突然空きが出たので、お父さんの判断で即移動させた。
そして翌日はバレンタインデー。

ここですべてのつじつまが繋がり、今日どっちへ行くのかメルが決断するのではと感じた。

50%以上もハワイアンの血を引き、トラディショナルハワイアンの教育を受けたメルがいつも描いたいた世界。
ここはオアフ島のなかでも、まさにぴったりの場所。

シャーマンの話では、メルは今戦士達と出会い座り込んで話をしているところだ言っていて、
気付けば戦士達が戦い合った崖のふもとまで来ている。

そしてとってもロマンチックだったメルにぴったりなバレンタインデー。

今までは一生懸命帰ってくるようにあの手この手尽くそうとしていたけれど、
ここで手放し、メルの決断に任せる準備ができた。

そして今朝、ついにメルが新しい世界へ旅立っていったという電話がきた。

いつも連絡をくれる親友の名前を電話の画面に見た時はついに来たかと冷静で、
その1分後にはメルおじさんからもらったTシャツを着て、落ち着いて家を出た。

ホスピスへ到着するとメルが大事にしていた愛車が停まっていて、なんか普通に会える感じがした。

部屋へ到着するとキレイにバラの花ビラに囲まれたメルがいて、まだ温かかった。

今日だと思っていたし、メルの決断をリスペクトする心の準備が出来ていたから、
私の心はとってもピースで涙は出ず、逆に見事な着地の仕方だなとうれしかった。

ワイキキ、トーングス沖に海に骨を撒きたいという彼の意思はみんな知っていた。

ハワイでは、偉大なサーファーやウォーターパーソンを弔う「パドルアウト」という、
カヌーやサーフィンで沖まで行って骨を巻くという行事をがある。

「これからどうする?」とお父さんに聞くと、

「ホクレア号が骨を巻きに連れて行ってくれる。
 カメハメハ(スクール)のチャプターも葬式をやると申し出てくれている。
 サーファー達もパドルアウトしたいと言ってくれてるから、みんな一緒にできればいいな。」

と言う。
メルおじさんが経ってわずか1時間以内のこと。

ハワイの伝説のセイリングカヌーであるホクレア号が骨薪きの伴走にくるなんて、メルおじさんの偉大さを改めて感じる。
しかもワイキキにホクレア号が来る機会はそうない。

カメハメハのチャプターも、サーファーの大規模なパドルアウトも、普通じゃなかなかありえないこと。

ホクレア号の初代最年少のクルー、
エディー・アイカウの招待選手、
そして今年はエディー・アイカウのジャッジに選ばれ、

いつも地味に過ごしていたメルおじさんだけれど、これだけ成し遂げた海の英雄はいないと思う。

一度5分も止まった心臓を生き返らせ、この2週間様々な人が会いに来れた。
英雄らしい逝き方だな。

この2年、メルの誕生日をミスった。
もうこの日は二度とミスらない。
愛に満ち溢れたバレンタインデー。

Happy Valentine’s Day Mel!

あとは私が自分の気持ちをどう処理するかだな。

メルおじさんが参加した1976年ホクレア号初の旅。

このビデオを初めて見た時は私がメルおじさんと出会った場所、
いつも見慣れたダイヤモンドヘッドがこんなになるのかと感動したのを覚えている。(6:00ぐらいから)
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